金の精錬とリサイクルについて
こんにちは!
リサイクルマート恵那店です。
本日は金の精錬とリサイクルについて。
精錬とは
金は鉱物の中にそのままで含まれている自然金から抽出されますが、製品とするためには不純物を取り除く作業が必要になります。
それが「金を精錬する」という作業です。
以前ブログで金の含有量によってK18やK14など呼び名が変わることをお話しました。
純度99.99%以上のものをK24・純金と呼びます。
この金の純度というものは精錬によって変わってきます。
鉱石などに含まれている自然金は、大抵のものが銀や銅などの他の金属が含まれていて、純金であることは少ないです。
精錬の技術によって金の純度はより高まっていくのです。
精錬の歴史
江戸時代以前
現在では世界中で行われている精錬ですが、日本では16世紀末まで鉱石から金を取り出す技術を持っていませんでした。
当時の日本には金含有量の多い鉱山が多くありましたが、そこから採れたせっかくの良い素材も精錬技術がない為、西欧の商人たちに安価で買い集められてしまっていました。
1590年頃に南蛮人より「灰吹法」という技術が日本に伝わりました。
灰吹法とは、溶かした鉛に鉱石を入れ分離させる方法です。
しかし、この方法では金と銀の分離がうまくできませんでした。
江戸時代
江戸時代に入ると金の産出量が日本で最も多かった佐渡の相川金銀山で鉱石がよく採取されるようになりました。
この鉱石中に含まれる金はエレクトラムと言われる金と銀の合金で銀の含有量が多く、40%ほどを占めていました。
そこで人々は金と銀を分離して、さらに金の純度を高める技術を開発する必要がありました。
このような背景から生まれたのが、「金銀吹分法」や「焼金法」です。
「金銀吹分法」は金や銀など混ざった地金を融解し、その中に鉛と硫黄を入れて、浮かんできた硫化銀に束ねたワラで水をかけて金を精錬する方法です。
10日以上地道に繰り返し行うことで純金を精錬するという、非常に大変な方法でした。
「焼金法」は産出した自然金を溶かして固めてから一度砕いて上粉にします。
この上粉に海塩を混ぜて、窯に入れて焼きます。
焼きあがった焼金を崩しながらしっかりと揉み洗いします。
この工程を何度か繰り返すことで、金と銀は分離し、非常に純度の高い金が精錬されます。
この「焼金法」は、にがりが含まれている海水の塩によって化学反応を起こし、銀が塩化銀に変化する特性を生かした技術です。
貴金属の業界では、現在でも純金のことを「やき」と呼ぶことがあります。
これは「焼金法」から由来した言い回しで、純度の高い金の代名詞として昔から使われていた言葉なのです。
明治時代以降
明治時代以降になると水銀を利用した混澒法(こんこうほう)、シアン化合物を利用した「青化製錬法」と言った技術が主流となりました。
昭和に入るとそれまで回収が困難だった細かな金銀粒子を回収する「浮遊選鉱法」が開発されました。
元々は銅の精錬法でしたが、金銀採収に応用する研究が重ねられ、ついに実用化に成功しました。
現代
現代では電気分解による精錬方法が使用されています。
溶炉に入れた鉱石に銅精鉱とケイ酸鉱と酸素を加えて溶かし品位99.%の銅にします。
それを精錬して銅や銀などの金属を電気分解することで高純度の金を精錬する方法です。
このように、江戸時代と現代の精錬技術を比べてみると、すべて手作業であった江戸時代と、すべて機械化された現代では大きく違うように見えます。
しかし、繰り返し作業し不純物を分離していくことで純度の高い金を精錬するという根本的な部分は時代が変わっても変化していません。
いつの時代でも金の精錬には膨大な時間と手間がかかっているのです。
金のリサイクル
金は地球上にわずかしかない貴重な貴金属です。
有史以来、発掘された金の総量は17万トン程と言われ、オリンピックプールに換算すると約3.5杯分程度になります。
残りの埋蔵量は約5万トンと言われております。
金は有限なのでこのままではいつか尽きてしまうかもしれません。
そこで今注目されているのが金のリサイクルです。
都市鉱山
日本では金鉱山に変わり、都会の鉱山に注目が集まっています。
現代社会では、金鉱山の金を上回る都市鉱山があります。
パソコンやゲーム機、デジカメや携帯電話などの精密機械には必ずと言っていいほど金が利用されています。
金は最も錆びにくく変質しにくい貴金属で、細く薄く延ばすこともでき、電気も通しやすい為、精密機械工業製品には必要不可欠なのです。
一つ一つに含まれる量はほんのわずかですが、すべて集めると鉱山にも匹敵します。
この都市鉱山から金を回収し、純度の高い金を再度作り出す。
これが金のリサイクルで、日本は世界トップクラスの技術を持っています。
如何でしたでしょうか。
金の希少性がわかりますね。
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